保健医療学雑誌
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学生教育用に試作した筋隆起センサを用いた模擬電動義手の紹介
福井 信佳 永井 栄一中山 淳川村 慶西野 誠一松本 成将吉川 雅博
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2023 年 14 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

近年,動力義手の1つである電動義手Finchが開発され臨床応用が試みられている.そこで筆者らは,Finchは教育現場でも利用できる可能性があると考え,Finchを非障がい者用に改良した模擬電動義手を試作し教育的利用について検討した.筆者らが試作した模擬電動義手の主な構造は,本体であるシーネ状の前腕支持具,手先具の開閉操作を円滑にするための手関節固定装具,手先具及び筋隆起センサからなる.製作上の工夫点は,手関節固定装具内にスイッチである筋隆起センサを挿入し,その筋隆起センサを橈側手根伸筋上に設置したことである.手関節固定装具は手背から前腕背側長軸方向にアルミ製の金属プレートがつけられている(以下,金属プレート).対象者は手関節を背屈すると手背部では手背が金属プレートを押し上げ,手関節を支点として前腕背側部分では金属プレートが筋隆起センサを押し下げ,スイッチ操作を容易にした.試用の結果,対象者は不自然な身体運動を伴うことなく手先具の開閉が可能であり,筋隆起が不十分な被験者でも手関節固定装具の併用が有効であった.模擬電動義手は構造面,重量面に課題はあるものの,能動義手との違いがわかりやすく教育的利用が可能であると推察された.本稿の目的は,教育用に試作した模擬電動義手の機能と構造を紹介するとともに,試用による効果と今後の課題について検討することである.

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