2023 年 14 巻 2 号 p. 101-107
【緒言】過度な大腿骨頸部前捻角(Femoral Anteversion Angle: FAA)は膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament: ACL)損傷の解剖学的危険因子であるが,その他の膝関節疾患やスポーツ障害についての報告は見当たらない.そこで,本研究ではFAA の測定と高い相関関係・妥当性を有するCraig テストを用いて,女子大学生のFAA と既往歴,身体特性の関係性について調査することを目的とした.
【方法】対象者は女子大学生71 名で,既往歴に関するアンケートおよび身体計測(全身弛緩性テスト,股関節内外旋可動域検査,Craig テスト)を実施した.
【結果】既往歴として最も多いのはACL 単独損傷であり,次いで半月板損傷,ACL・半月板複合損傷,膝蓋骨脱臼であった.身体計測では,股関節外旋(腹臥位)とCraig テストにおいて既往歴なし群と既往歴あり群間に有意な差を認めた.
【結論】膝関節に関連した既往歴を有する対象者は過度なFAA を有する可能性があると考えられる.