保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
原著
地域在住健常女性成人における寝返り動作と運動機能の関連
溝田 勝彦 田中 真一久保 温子大川 裕行古後 晴基大田尾 浩八谷 瑞紀坂本 飛鳥坪内 優太釜崎 大志郎
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2023 年 14 巻 2 号 p. 80-86

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抄録

【緒言】移動の発達において,寝返り動作は床上での移動手段として最も早期に獲得され,生涯を通じて有用な移動手段である.また,日常生活活動の自立に欠くことができない基本動作である.寝返り動作に含まれる要素は,その後に続く基本動作と深く関係しているが,寝返り動作と運動機能や基本動作との関連を検討した研究は見当たらない.本研究の目的は寝返り動作と運動機能の関連を明らかにすることである.【方法】対象は地域在住健常女性成人42 名で,平均年齢は55.4±18.6 歳であった.寝返りの所要時間,30 秒椅子立ち上がりテスト(30-second chair stand test: CS30),Timed“Up & Go”test(TUG),最大努力下でのFigure-of-8 Walk Test(F8Wmax),最大歩行速度,握力,大腿四頭筋筋力,足指把持力を測定し,寝返りの所要時間と各運動機能の関連を検討した.【結果】寝返りの所要時間と運動機能(CS-30, TUG, F8Wmax,最大歩行速度)の間に有意な相関が認められた.また,右への寝返りと左への寝返りの間の相関係数は0.84 で,p<0.01 で有意であった.【結論】地域在住健常女性成人において寝返り動作と運動機能に関連が認められ,寝返りを速く行える者ほど歩行能力やバランス能力が高い可能性が示唆された.また,寝返り動作を練習することで,日常生活活動で手助けや見守りが必要な者の運動機能や基本動作が改善し,起居移動動作の自立度が高まる可能性が示唆された.

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© 2023 保健医療学学会
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