2023 年 14 巻 2 号 p. 87-92
【緒言】近年,子どもにおいてロコモティブシンドローム予備軍,いわゆる子どもロコモの増加が指摘されている.片脚立ちができないなどの運動器機能の異変が生じている背景には,その基盤となる足部自体の成長に何らかの変化が生じている可能性がある.本研究は,学童期の児童を対象に足部形態がどのような成長を遂げるか,性差を含め,身長や体重の発育状況とあわせてその特徴を明らかにすることを目的とする. 方法】学童期児童451 名を対象に,身長・体重・足部形態の状況を調査 した.足部形態は足裏バランス測定装置Foot Look を使用し,足長・足幅・母趾外反角・小趾内反角・開張角・足長に対する足幅の割合(足幅/足長)を測定した.解析は身長・体重ならびに足部と足趾形態の学年別,性別の比較を二元配置分散分析を用いて比較した.結果】身長・体重・足部形態は低学年から高学年になるにつれ順調に増加することが確認されたが,足長・足幅・母趾角・開張角の成長には性差が認められた.足のプロポーションを示す足幅/足長は男児が女児より低学年・中学年で有意に大きい傾向があり,高学年では有意差がなくなった. 結論】男児の足部は女児に比べて低学年と中学年で幅広い形状であり,高学年で女児と同じ割合の細長さまで成長することが示唆された.女児の足は足幅/足長が学童期の間大きな変化がなく,男児よりも早期から細身の形状をしていることが明らかとなった.