2016 年 7 巻 2 号 p. 61-66
後天性血友病は,止血コントロールが得られるまでは安静が強いられるため廃用症候群を引き起こす.今回,止血コントロールが良好であった後天性血友病症例に対して理学療法介入を行い,介入期間中に出血を認めず自宅退院に至った症例を経験した. 本症例において薬物療法に対する凝固因子関連指標に留意することで理学療法による出血を引き起こすこと無くADL を維持,拡大することが可能であった.また,後天性血友病はほとんどが突然発症であり本症例では更に高齢による認知機能低下も認めたことから疾患に対する認識が低く安静度を遵守出来ない傾向が見受けられた.以上のことから後天性血友病に対する理学療法は早期からの理学療法介入と病態を踏まえた患者教育を行うことでADL 低下を予防出来る可能性が推察された.