2017 年 8 巻 2 号 p. 104-109
物忘れを主訴とする患者における海馬の萎縮や楔前部・後部帯状回の血流低下に関連する神経心理学検査を検討することを目的とした後方視的研究である.海馬の萎縮や血流低下を従属変数,Mini-Mental State Examination,改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R),三宅式記銘力検査,Frontal Assessment Battery(FAB),ウェクスラー記憶検査の下位検査である論理的記憶Ⅰ・Ⅱを独立変数として判別分析を実施した.その結果,海馬の萎縮に関連する神経心理学検査としてHDS-R・論理的記憶Ⅱが抽出され,楔前部・後部帯状回の血流低下に関連する神経心理学検査では,FAB が抽出された.これらの神経心理学検査は海馬の萎縮や楔前部・後部帯状回の血流低下を反映し得る可能性のある神経心理学検査であると考えられた.