日本地方財政学会研究叢書
Online ISSN : 2436-7125
研究論文
自然災害が入湯税収に与える影響について
——箱根町地域別月次データによる分析——
平賀 一希
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2021 年 28 巻 p. 105-124

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抄録

 本稿では,震災や火山噴火警戒レベル上昇といった自然災害による外生的ショックが自治体の入湯税収に与える効果について,箱根町のデータを用いて実証分析を行う.箱根町においては,全国自治体でもっとも多くの入湯税収を得ているおり,具体的には,2008年1月から5地区別で月次データとして収集している.本稿においては,自然災害ショックとして,直接的な影響として箱根山の噴火警戒レベルが変化したことと,間接的な影響として,東日本大震災による全国的な自粛ムードを通じた影響について検証を行った.2つの自然災害ショックの影響を定量的かつ動学的波及効果を明らかすべく,パネルLocal Projectionという手法を用いて検証を行った.本稿の分析結果より,東日本大震災発生時のショックは大きく,発生時点では,各地域において平均約745万円(5地域計約3725万円)ほど入湯税収が減少し,箱根山噴火警戒レベルショックは約139万円(5地域計約695万円)ほどであった.一方,ショックの持続性という観点で見ると,東日本大震災の影響は2か月ほどで収束している一方,火山噴火の影響については,7か月ほど持続していることが分かった.

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