2021 年 28 巻 p. 15-37
本稿は,市区町村によるコンビニ交付サービスの導入や交付促進政策が,各市のマイナンバーカードの1年間の交付枚数にどのような影響を与えているのかを定量的に分析したものである.現在,「特別定額給付金」をめぐる混乱によって,行政手続のオンライン化が改めて最重要課題として認識されているが,それに不可欠なマイナンバーカードの普及はいまだ不十分であり,交付率(累計交付枚数を交付対象人口で除したもの)は,15.5%に留まっている(2020年3月1日時点の全国平均).このことから,これまでコンビニ交付サービスの導入による利便性の向上や,市区町村による交付促進政策を通じたマイナンバーカードを取得しやすい環境の整備などが行われてきたのだが,それらの効果について研究は十分に蓄積されていない.そこで,本稿では,市区町村によるコンビニ交付サービスの導入や,その他の交付促進政策が交付率向上につながっているのかを分析した.市を対象にした分析の結果,市区町村によるコンビニ交付サービスの導入や,その他の交付促進政策がマイナンバーカードの交付を促進していることを明らかにした.