言語政策
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Print ISSN : 1880-0866
研究論文
香港と“Bilingualism With and Without Diglossia; Diglossia With and Without Bilingualism”
板垣 直美
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2024 年 20 巻 1 号 p. 20_1-20_21

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抄録

1997年に香港の主権が英国から中華人民共和国(以下「中国」と記す)へ返還されてはや26年が過ぎた。その間香港における英語と広東語は、本土からの普通話の流入をはじめ様々な要因により、これまでの植民地時代の支配言語/被支配言語という構図からその地位や役割を脱構築し、新たな関係性を模索し始めている。本稿ではその変化をジョシュア・フィッシュマンの古典的論文に沿って、まず「返還前」(pre-1997)と「返還後」(post-1997) に分けて概観した。その後「ダイグロシア」を中心に機能主義的観点からだけでなく、背後にある言語(話者)間の力関係からも考察を加えてみた。そうすることでフィッシュマンの論考や定義は、香港の言語事情を描写するにあたり今なお有効であると同時に、実情と合わなくなってきている点もあることが明らかになった。

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