2019 年 29 巻 2 号 p. 69-74
モンゴルで進行している過放牧による生態系の劣化と飼料不足への対策として,草原への火入れとイネ科植物による促進効果に注目した.火入れ実験の結果から,不嗜好性種優占草地では植生を改善したが,植生衰退草地では効果が認められなかった.イネ科植物Achnatherum属が雨で流された家畜の糞を捕捉することで肥沃なマウンドを形成し,そこで広葉植物の成長を促進していた.本研究は,劣化したモンゴル草原における火入れや植物による促進効果が,植生や家畜生産性の回復ツールとして有効であることを示した.