エチオピアでは,人口増加,森林伐採,農耕地拡大,家畜放牧圧増大により,土壌浸食の増大,森林の減少,植生の劣化が著しく進んでいる.エチオピアでは,地域の経済成長を維持するために,共有地資源を持続的に管理することが重要である.本研究の目的は,エチオピアのシダマ州における共有地管理の現状把握調査を通じて,地域コミュニティーによる自発的で持続可能な共有地管理のあり方を検討することにある.本研究の事例研究から,地域コミュニティーによる共有地の保全を良好に管理できる要因は,監視員のモリタニングがよく機能していること,保全された共有地から地域コミュニティーとコミュニティーメンバーの双方に利益があること,居住空間の改善があること,違法利用に対する罰則が厳しいことが示唆された.共有地が行政区分の境界周辺にはなく,神聖の森であるならば,良好な管理に更に寄与することも把握された.こうした努力も,家族計画と農村部から都市部へ人口移動政策による人口抑制なしには,効果的な共有地の保全には期待できない.
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