砂漠化は各乾燥地特有の人為および気候の作用による複合現象であることから,本論は,その発生,強化,拡散の過程を農業史および気候史の中でとらえることを目的とした.世界の気候植生地域には,その自然資源に適合した農法(農業様式)が発生,変化したが,農業の自然改変力が再生能力を上回る場合は,その地域特有の砂漠化を引き起こした.このような農法の変化と砂漠化の過程は,森林,疎林,草原・砂漠の3時系列に類型化されることを示し,砂漠化対処についても同類型の農法・砂漠化対処法を水平移転,時間移転できる可能性を示唆した.