2023 年 13 巻 1 号 p. 31-54
本稿は、批判的ディスコース分析(critical discourse analysis, CDA)を理論的枠組みとして援⽤し、Jones et al. (1997) の分析⽅法を⽤いることにより、平成 28 年度採⽤の⽂部科学省検定済中学校英語教科書を分析したものである。それぞれの英語教科書が、⼥性および男性登場⼈物を対話の場⾯のなかで表象するさいに、どのようなディスコース上の役割を彼(⼥)らに割り当てているのかを考察する。また、この検証により、⼥性像および男性像に対する固定的イメージが中学⽣に対して暗⽰されているかどうかを考察する。分析の結果、異性間対話において誰が会話を開始するのかという点を除いて、登場⼈物の出現数、登場⼈物が獲得するターン数、そして登場⼈物が使⽤する単語数に関しては、⽐較的均等に男⼥間で配分され、各教科書が⼥性登場⼈物および男性登場⼈物にディスコース上の役割を平等主義的に付与していることを明らかにした。