抄録
本研究は、日本の偏差値50前後の私立大学に通う大学生178名を対象に、英語学習における不安の要因を明らかにし、さらに不安軽減につながった要因や授業内アクティビティを検討することを目的とした。偏差値50前後の学生層は、正規分布上のボリュームゾーンに位置し、日本の大学生の平均像を把握する上で有効であり、英語教育の改善に資する知見を得られると考えられる。また、Alrabai (2015)の研究を参考に、不安軽減に有効とされる6項目の指導方法を授業に導入し、学習者の不安の変化を調査した。調査には外国語教室不安尺度(FLCAS)日本語版(Yashima et al., 2009)と自由回答記述質問紙によるミックスメソッドを採用した。主要な不安要因として「間違うこと」、「コミュニケーション」、「言語知識」、「授業理解のつまずき」、「他者との比較」等が挙げられた。一方、「授業方略」、「授業の雰囲気」、「教員の指導特性」、「教員の態度・姿勢」などが不安軽減に影響していることが明らかになった。本研究は、学習者が「間違えても大丈夫」と感じられるような雰囲気づくりが、英語教育において重要であることを示した。