2019 年 18 巻 2 号 p. 49-53
今日の歯科インプラント療法は,QOLの低下をきたした数多くの患者を救ってきたが,その歴史はたかだか半世紀にしか過ぎない.経験豊かな研究者や臨床家の間では周知されているように,ブローネマルクのコンセプトでは長期結果に視点を置いていたが,近年,多くの歯科医師は短期的な成績を重んじるようになってきた.一部の業者は,簡単,単純な構造そして早期のインテグレーションの獲得を強調しているが,これはあながち間違いとは言えない.しかしながら,優れたハードウェアと適切なソフトウェアが出会って,はじめて好ましい長期安定性が得られることを念頭に置くべきであろう.人造物の多くは力により問題をきたすが,インプラントも例外ではなく生体力学的な観点から方法の選択と診断とを行う.本法における最も大切な要素は,オッセオインテグレーションを示すインプラント本体であり,この点が理解されていなシステムも見られる.さら上部構造とアバットメントとの正確な適合は,周縁骨の安定性のための要因と言える.生体組織から異物と認知される可能性のあるインプラントの外科術式には,制腐的環境下での丁寧な術式が求められる.
歯科医師は,“生体組織は人間よりも賢い”ことを忘れてはならない.