日本顎顔面インプラント学会誌
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総説
上顎洞の解剖と脈管,神経分布
髙橋 富久
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キーワード: 上顎洞, 形態, 動脈, 神経
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2019 年 18 巻 2 号 p. 55-59

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抄録

 上顎洞は上顎体の中心部に位置し,5つの壁によって囲まれたピラミッド型の空洞で,半月裂孔を介して中鼻道に開口する.洞壁は粘液細胞を有する多列線毛上皮によって被われているが,しばしば,扁平上皮化生がみられることも珍しくない.上顎洞は胎生5週頃から形成が始まるが,実際に体積が急速に増加するのは出生後で,成人になるまでその発育は続く.特に下方および外側方への発育は,歯の発育と密接に関係している.上顎洞の粘膜面と骨壁を栄養する主な動脈は,顎動脈の枝の眼窩下動脈と後上歯槽動脈である.ともに洞壁内の歯槽管を通過し,上顎洞粘膜面に枝を送る.また,眼窩下動脈の枝の前上歯槽動脈も上顎洞の前方部分を栄養しながら後上歯槽動脈と吻合する.したがって,眼窩下動脈,前上歯槽動脈,後上歯槽動脈は上顎洞を囲みながら骨内・外で環状のループをつくることになる.一方,神経支配は上顎神経から直接分枝する眼窩下神経と後上歯槽枝で,同名動脈とともに骨内を走行し,粘膜面と骨壁に枝を与える.後上歯槽枝および眼窩下神経の枝の前上歯槽枝と中上歯槽枝は洞底部周囲で上歯神経叢を形成し,上顎歯の歯髄と歯根膜,および頰側歯肉の感覚を支配する.

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© 2019 公益社団法人 日本顎顔面インプラント学会
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