2019 年 18 巻 4 号 p. 243-245
19世紀末に確立されたCaldwell-Luc法はつい最近まで鼻副鼻腔炎の手術的治療の中心として広く行われてきた.鼻内からのアプローチも試みられてきたが,当時の鼻内手術は狭くて暗い術野,出血,周囲の重要臓器の損傷のリスクのため十分な効果を上げてきたとは言えなかった.光学技術の発達した1990年代に内視鏡下副鼻腔手術が確立しCaldwell-Luc法による病的洞粘膜の可及的摘出から,副鼻腔の開放,換気排泄路の造設へと手術のコンセプトが転換することとなった.現在,内視鏡手術はさらに発展し,鼻副鼻腔炎だけでなく腫瘍などに適応拡大されている.
保存的治療としてはマクロライド少量長期投与法が慢性副鼻腔炎に対する標準的治療となっている.これにより外科的治療の適応とされた鼻副鼻腔炎の多くが保存的に治療できるようになった.
しかし,内視鏡下副鼻腔手術,マクロライド療法という鼻副鼻腔炎の二大治療が確立された中で,同時にこれらの治療で改善しない難治性の鼻副鼻腔炎も明らかになってきた.今後は鼻副鼻腔炎の分子病態を考慮した治療の開発が必要になるだろう.