医療情報学
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原著
病院情報システムの障害による影響 ―受診者アンケートから―
大塚 博紀
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2000 年 20 巻 1 号 p. 17-31

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抄録

 病院情報システムのトラブルは日常診療業務に大きな影響を及ぼし,なにより受診者に大きな影響が及ぶ.愛媛大学医学部附属病院では1998年6月26日に約2時間の全面的なシステム停止があり,その1か月後と約1年後に病院情報システムに対する外来受診者意識調査を行った.システム停止の影響と病院管理体制面からの対処法について分析し,その結果,(1) 受診者の病院滞在時間はシステム停止により平均2時間45分延長し,システム停止時間帯の前後を含めた受診者病院滞在時間に影響したこと,(2) 手書き処理はシステムダウン時間を吸収できていなかったこと,(3) 業務開始後の来院時刻帯別による病院滞在時間に差がなかったこと,(4) システムダウン時の説明は看護婦からがわかりやすいとの受診者の期待があり,放送は思うほど効果なかったこと,(5) システム再起動が30分以内であるなら,一度再起動するまで手書き伝票への切り替えを待つことも選択肢であることなど明らかになり,今後の病院情報システムの開発と管理体制について考察した.

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© 2000 一般社団法人 日本医療情報学会
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