2000 年 20 巻 1 号 p. 9-15
傷病者の搬送活動をシステム論的にとらえる試みは以前から行われているが,いずれも傷病者の搬送にかかる時間を確定的に与えて評価を行っている.しかし,搬送時間は交通状況や天候等の諸事情によりばらつきが生じることから,救命率と確率的な搬送時間をあわせた評価が必要であると考えられる.そこで本研究では,搬送活動を評価する救命システム信頼度を信頼性分析によって定義するとともに,関西国際空港における航空機事故を想定し,ヘリコプター搬送が行われた場合の救命システム信頼度を予測した.その結果,従来の方法はリスクを低く評価しており実際の救命率はより低くなると思われること,救命機会の高い時間帯の特定が可能となること,などが明らかとなった.