近年,地域住民に対し保健,医療,福祉が有機的に一体となって,総合的かつ計画的にサービスを提供していく,いわゆる地域包括医療システムが注目されている.現在,地域包括医療システムにとっての重要な課題は,高齢化社会を背景とする在宅医療システムのあり方と,地域住民の生命と身体を守るために重要な役割を担ってきた救急医療システムの再整備である.
本研究では後者に着目し,夜間における医療サービスの隙間を埋める存在として必要不可欠な施設である夜間急病センターの混雑状況を分析する.
札幌市医師会夜間急病センターを例にとり,最初に電話相談窓口の解析を行い,着信回数と完了回数から必要な回線数を求める.次に同センターの診療に関する混雑度を分析する.夜間急病センターの診察をモデル化し,待ち行列理論を適用することで,患者の到着時間分布とサービス時間(診察時間)分布から,平均待ち時間と平均待ち行列長を求める.