2001 年 21 巻 5 号 p. 325-332
本論文では,心臓の3次元画像再構成と没入型提示装置を用いた能動的な表示システムに関して述べる.心臓の3次元画像生成は,下記の手順で行った.まず,経食道超音波プローブによりB-mode像を獲得し,心電同期を用いて複数断面上で撮像を行った.次に,マスキング処理,勾配弛緩法を用いたセグメンテーション,座標変換を獲得した超音波画像に施した.最後に,マーチングキューブ法を用いたサーフィスレンダリングにより3次元再構成を行った.今回使用した没入型提示システムは,大きさが3×2.4 mである3面のスクリーン,5台のPC,ジョイスティック,音響設備から構成されており,正面のスクリーンにのみ偏光眼鏡を介して立体映像を提示した.没入型提示装置に表示された心臓の3次元画像は,大きな視野角を有し,様々な視点から観察することが可能であった.したがって,現在の診断や手術計画のみならず,ロボット手術の視覚インタフェースとして有用であると考えられる.