医療情報学
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原著
健康維持増進へのVR技術の応用
澤田 一哉四宮 葉一仲島 了治野村 淳二王 碩玉石田 健司木村 哲彦
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2001 年 21 巻 5 号 p. 349-357

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抄録

 乗馬が心理的・身体的な訓練になることは,従来からよく知られている.特に欧米では,「乗馬療法」としてドイツ,イギリスを中心に発展し,広範に普及してきている.乗馬療法は,姿勢性腰痛の予防,腰回りの筋肉活性化,転倒防止,円背防止といった高齢者の健康ニーズに合致した効果があるといわれている.また,一般の筋肉トレーニングやリハビリ訓練などと比べて心理的な苦痛も少ないため,高齢者に適した身体機能訓練であるといえる.しかしながら,実際の生きた馬で行うことは,その維持,生育環境,動作の再現の困難さなど,さまざま問題があるため,広範に普及するには限界がある.

 前述した背景の下で,健常高齢者の身体機能の活性化を図ることを目的として,VR技術を応用した乗馬療法システムの開発を行った.本システムには,実馬の鞍の動きを忠実に再現した高機能型システムと,そのシステムを基にして,筋力アップの効果を保ちつつ,機構の簡略化と低価格化を実現して開発した家庭用機器の2つのタイプがある.高齢者を対象にした実験の結果,本システムを使用することによって,姿勢性腰痛の予防や転倒予防などに役立つ腹筋,背筋,さらには両膝屈曲筋および伸展筋の筋力アップが図れることが明らかとなった.

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© 2001 一般社団法人 日本医療情報学会
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