今日,病院情報システムに搭載する医科用の標準病名集はいくつか入手可能であるが,歯科用のものはまだ十分なものがないのが現状である.通常の標準病名集では歯牙・口腔関係の詳細な病名の細分類が不足している上,関連する奇形,炎症,腫瘍性疾患等の病名が疾患分類全体の中に広く散在しており,歯科医療機関での効率的な使用を困難にしている.そこで我々は,歯科用の国際標準疾病分類体系であるICD-DAのコード構造を利用して「MEDIS標準病名集」から歯牙・口腔関連病名を抽出することを試みた.さらに大阪大学歯学部附属病院で使用中の病名マスタの提供を受け,これらを統合し相互に比較照合して各レコードの内容を検討した.これらの検討作業の結果は,医科と整合性を保った歯科用標準病名集整備のための有用かつ基礎的な資料となると我々は考えている.