近年,情報技術の急速な普及により臨床でインターネット (IN)を活用することが一般的になったが,Web上の情報は規制や評価がされておらず,INの二次資料提供ツールとしての有用性は明らかでない.そこでINを用いた専門的な医療情報の収集を通してINの利便性と信頼性について検討した.調査は「高齢心筋梗塞患者に対する薬物治療」の指針づくりを想定し,6種類の検索エンジン (SE)で4種類の検索語の論理積検索を実行し得られたサイトについて行った.その結果SE,検索語ともに吟味したにも関わらず検索結果にはノイズが多く,再現性にも問題があった.さらに利用者が情報の信頼性を判断する際に必要な,サイトの「制作者」「情報根拠」「作成・改訂年月日」「問い合わせ先」の4項目のいずれかの明示がないサイトが75%を占め,4項目を満たした医療情報提供サイトは全体の10%に満たなかった.以上から少なくとも専門的な医療情報の収集においてINの利便性はまだ低く,情報の信頼性を判断することも困難な場合が多いので,臨床ではこの事実を理解した上でのIN利用が必要と考えられた.