2002 年 22 巻 1 号 p. 3-10
宗像地区は,人口15万人で二次医療圏を構成し,宗像医師会病院はその中核医療機関である.この医師会病院を中心に地域電子カルテによる病診連携システムを企画した.今回は,1)宗像医師会病院業務及び診療情報記録にIT技術を導入し,診療情報をデジタル情報として提供できるようにし,2)診療所側も電子カルテを用いて情報提供できるシステムと,3)WEBで情報を参照するシステム,を構築した.このネットワークはインターネットとは接続せず,通信手段はPHSデータ通信を用いた.
平成13年12月より平成14年2月まで実証実験を行い,患者側の約90%が便利と評価し,不安感を感じた人は22名中1名(4.5%)であった.PHSによる通信は,速度の遅さを特にユーザーに感じさせることはなく,設置の容易さ,利用場面を広げ,地域医療において情報通信を利用する際に有用であることが分かった.