医療情報学
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22 巻, 1 号
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原著
  • 八幡 勝也, 古賀 道恵, 東 敏昭, 草場 公宏, 石川 秀雄, 原 章, 淡浪 日出夫, 小池 淳, 新井 洋一, 藤村 雅彦
    2002 年22 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     宗像地区は,人口15万人で二次医療圏を構成し,宗像医師会病院はその中核医療機関である.この医師会病院を中心に地域電子カルテによる病診連携システムを企画した.今回は,1)宗像医師会病院業務及び診療情報記録にIT技術を導入し,診療情報をデジタル情報として提供できるようにし,2)診療所側も電子カルテを用いて情報提供できるシステムと,3)WEBで情報を参照するシステム,を構築した.このネットワークはインターネットとは接続せず,通信手段はPHSデータ通信を用いた.

     平成13年12月より平成14年2月まで実証実験を行い,患者側の約90%が便利と評価し,不安感を感じた人は22名中1名(4.5%)であった.PHSによる通信は,速度の遅さを特にユーザーに感じさせることはなく,設置の容易さ,利用場面を広げ,地域医療において情報通信を利用する際に有用であることが分かった.

  • 中島 直樹, 坂本 憲広, 三村 和郎, 山本 隆一, 田中 直美, 井口 登与志, 名和田 新
    2002 年22 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     公開鍵基盤を用いた認証システムとHL7version3 RIM準拠によるデータ通信規格の標準化を実現した地域医療ネットワークシステムを用いて,システム実証実験を行った.試用システムは①電子カルテ汎用データベースシステム②患者基本情報管理システム③利用者認証システム④診療情報公証システム⑤糖尿病電子カルテシステム⑥糖尿病患者データ移行システムより成る.福岡市内47施設の医療機関にネットワークを構築し,実証実験を平成13年12月から平成14年2月末まで行ったが,接続実験,実診療運用にシステム作動,通信上の問題を認めなかった.協力医療従事者へのアンケート調査では,医療サービスの効率化,質的向上に対する期待が高く,電子カルテの操作性,ネットワーク環境に課題を残した.登録患者アンケートでは多くの患者が本システムを違和感なく受け入れているが,一部に個人診療情報の共有やシステム説明への不安を有していることが判明した.

  • 松村 泰志, 中野 裕彦, 楠岡 英雄, 朴 勤植, 松岡 正己, 大嶋 比呂志, 早川 正人, 武田 裕
    2002 年22 巻1 号 p. 19-26
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     ネットワークを利用した医療機関の連携を実現するために,ADSLによる地域IP網上にPKIをのせたネットワークインフラの上に,電子診療情報提供書システムとASP型の電子カルテシステムを稼動させ評価した.電子診療情報提供書システムは,センターのメッセージ交換サーバを中心に,18診療所と4病院の間を結び,診療情報提供書情報(J-MIXのXMLフォーマット)を交換するシステムである.病院側では地域医療連絡室を中継点として,各診察室との間で,配信・収集を行う方式とした.77人の患者を本システムで紹介したが,医師,患者ともに高い評価を得た.ASP型電子カルテシステムは,センターにサーバ,診療所に端末を置く構成で,病院用に開発されたシステムを診療所用に応用するものである.本システムは,message queuの非同期通信を基本とし,端末側にも患者データベースを置く構成であり,遅いネットワークででも,患者データの送受信については,応答速度を遅延させる要因とならなかった.画面等の設定データの受信に負荷がかかるなど,いくつかの改良すべき点が明らかとなったが,技術的には解決可能であり,この方式の電子カルテシステムが実現可能であると考えられた.

  • 永岡 宏朋, 永澤 直樹, 中山 良平, 高田 孝広, 山本 晧二
    2002 年22 巻1 号 p. 27-34
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     本稿は診診連携,病診連携,医療の質の向上を目的として三重県津・久居一志地区で展開している三重県地域保健医療福祉情報ネットワークシステムの紹介論文である.システムは,診療所,中核病院,自治体,広域消防を,CATV網上に構築したVPNで繋ぎ,中央にはデータの長期保存を目的としたバックアップセンタを配置した構造を持っている.本システムの最も大きな特徴は,①情報共有制御をダイナミックに行うための共通ID機構,②最適なバックアップデータベース構造をDTDを元に自動生成する機能,③上記機能の実現に伴って原理的にはORCAなどXML形式で通信可能な任意の電子カルテシステムのデータバックアップが可能なこと,④電子カルテの中に情報共有を支援する紹介状・報告書システムが組み込まれていること,の4点である.本稿では,これらの特徴を中心に紹介し,開発に際しての課題などについて論じる.

  • 松本 勉, 嶋田 泰幸, 川路 茂保, 平松 義朗
    2002 年22 巻1 号 p. 35-42
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     本論文は高齢者の健康生活を支援するための生活行動モデルと生活行動異常判定法を提案し,実際に人の生活行動を観測し収集データをもとに生活行動異常判定への適用実験を行い,提案手法の有効性について述べたものである.人の生活行動モデル考案のために人の生活行動の習慣性に着目し生活行動の解析を行い,生活行動が確率遷移する有限オートマトンで表現できることを指摘した.次に,隠れマルコフモデル(HMM)の手法を用いた生活行動異常判定法について述べた.最後に,実際の観測データから生活行動知識の構築を示し,生活行動異常判定への適用実験結果から提案手法の有効性を示した.

  • 羽根田 清文, 稲邑 清也
    2002 年22 巻1 号 p. 43-50
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     ネットワークを介在した情報システムにおいて,利用要求者が正規利用者か否かを確認するために,一般的にパスワード方式が利用者認証方式として利用されているが,パスワード方式はパスワードの管理面などの理由から信頼性が高いとはいえない.また,従来の他の認証方式も種々の問題があり,替わりとはなっていない.そこで我々は,ネットワークを介在したシステムでの利用者認証方式として,利用者に対する「質問と解答」による認証方式を考案し,本方式を運用する場合の信頼性および利便性に関しての検討を行った.本方式は,正規利用者のみが,自分の記憶を振り返ることにより正解できる質問により認証を行うものである.導入時の付属装置および,利用時の特別な操作,設定などが不要であり,認証方式利用時の信頼性および利便性はパスワード方式より優れた結果となった.また,利用者の解答時間を含めた認証時間についても,適用用途に制限があるが実用的時間内にて利用可能となり,実用性が確認できた.

  • 柳樂 真佐実, 安田 晃, 孫 暁光, 平野 章二, 津本 周作
    2002 年22 巻1 号 p. 51-57
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     島根医科大学附属病院の研修医を含むすべての医師を対象に,現在使用している病院情報システムの評価をアンケートした.紙伝票による運用との比較では,面倒,変わらない,楽の各カテゴリーに分散する傾向があった.対応分析を行った結果,退院時要約記入とカルテ記入は面倒と感ずるが,検査予約,薬処方は楽と感じ,予想された結果を得た.病院情報システム導入がもたらした変化では,レセプト処理,検査結果報告までの時間では良否が拮抗し,外来患者待ち時間,診察時間,研究,教育への頻度では良好な回答が多く出る傾向が見られた.他の検査内容,研修医,学生の教育内容,入院患者在院日数などに変わらないという回答が多かった.オーダミス・処方ミスの増減では,注射オーダの出し忘れ,出し間違いと検査,処方の間に連関が認められず,回答パターンに違いが見られた.

  • 水流 聡子, 中西 睦子, 太田 勝正, 村嶋 幸代, 中根 薫, 河口 真奈美, 片山 京子, 出羽澤 由美子
    2002 年22 巻1 号 p. 59-70
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     近年の情報技術の急速な発展は,電子カルテによる医療従事者間の情報共有の現実可能性を促進し,看護用語の標準化は急務の課題となっている.しかし,看護実践を記述する共通言語として認知された用語体系は,未だ存在していないのが実状である.看護に対するニーズは,当該国の医療の制度・文化によって異なるため,国際的な標準化作業は容易ではない.また当該国の中においても同様である.本研究では,わが国の看護実践の中で用いる看護行為名称の標準化を目的として,行為名称と行為内容を調査し,両者の一致状況を分析した.まず調査手法の開発を行い,その手法を用いてデータを収集し,分析を行った.その結果,行為名称と行為内容との一致率が定量的に示された(成人領域86%・小児領域77%・精神領域81%・在宅領域80%・母性領域41%).

  • 栗原 幸男, 奥原 義保, 北添 康弘
    2002 年22 巻1 号 p. 71-77
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     医療情報システムを評価する場合の基本的な視点は,経費対効果の経済性にではなく,その情報システムの開発・導入における当初の目的・目標に対する達成度・到達度に置くべきであり,その目的・目標毎に評価指標を適切に定めて,評価すべきであることを提案した.この視点からの評価は極めて自然且つ適切であり,そのシステムに対する扱いの方向も適切に与えられる.これらのことを,高知医科大学医学部附属病院で構築された3つの医療情報システム(注射薬供給・管理システム,医用画像参照システム,看護過程支援システム)を例にとり,具体的に検証した.

  • 辻 正次, 鈴木 亘, 田岡 文夫, 鎌田 弘之, 大坂 英通, 手嶋 正章
    2002 年22 巻1 号 p. 79-86
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     在宅健康管理システムは,在宅介護・保健支援分野におけるIT利用の遠隔システムであり,全国的な普及度も高い.問題は費用負担に相応するだけの便益をあげているか否かである.これをテーマに,われわれは岩手県釜石市の医療法人楽山会せいてつ記念病院の運営する在宅健康管理システムのユーザーに対するアンケート調査を行った.これによって得たWTPデータにより,同システムの総便益を推定するとともに,システム導入,運営の総費用と比較し,運用年数6~11年で便益が費用を上まわることを明らかにした.さらに,この便益がシステムの持つどのようなメリットにどの程度由来するかを回帰分析し,運用総費用のうちどれだけを公的負担ないし保険負担とするのが妥当であるかを明らかにした.

  • 永田 宏, 濱井 龍明, 浅見 徹, 田中 博
    2002 年22 巻1 号 p. 87-94
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     インターネットを活用した医療系アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider: ASP)とデータセンター(Internet Data Center: IDC)は中小病院や診療所の情報化を推進し,施設間での医療情報の共有・交換を容易にするなど,様々なメリットが期待できる.しかし医療系ASP/IDCの実現のためには,保管すべき医療情報の総量を知る必要がある.また効率的なIDCの配置を検討するうえで,患者の移動状況を把握する必要がある.我々はこれらの問題に関して,厚生労働省の統計データを用いて分析を行った.その結果,日本全体で1年間に発生する医療情報は3ペタバイト程度であるという結果を得た.これは高々1000本のラックに搭載したストレージシステムで収容可能な量であるため,情報量の観点からは医療系ASP/IDCは十分実現可能であると判断できる.また患者の大半は居住する都道府県の医療施設で受診し,県外の医療施設で受診するものは高々数パーセントに過ぎないことが分かった.したがって各都道府県医師会がIDCを構築することが,運用上有利であると考えられる.

  • 小原 清弘, 高林 克日己, 神山 卓也, 松尾 仁司
    2002 年22 巻1 号 p. 95-102
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     POSに基づくテンプレート入力の電子カルテのプロトタイプを開発し,その有効性を検討する目的で,外来試用評価を行った.テンプレートには患者のプロブレム毎に必要な診察項目が入力でき,必要な検査データだけを自動表示する.自由文のSOAP形式の記入も可能である.また,任意の検査,処方,身体所見各データの履歴もグラフ表示できる.これにcommon diseaseを中心とした20疾患のテンプレートを作成し,292名の患者にのべ920回の試用を行った.紙カルテとの比較評価をしたところ,一人当たりの診察時間は約1分,カルテ操作時間は約30秒増加した.カルテ操作時間の増加は,テンプレート入力ではなくキーボート入力に起因していた.カルテ充実度の一指標とした記入項目数は約2倍に増加しており,テンプレートのメリットは大きいと思われる.さらに検査データグラフ表示機能等により説得性や診療の質的向上が期待できる.患者にも好意的に迎えられたが,医師からは端末に向かうため患者と対向できず,診療に集中しにくい等の問題が指摘された.

  • 永野 綾, 大櫛 陽一, 山田 信夫, 日極 有紀子, 秋山 幸一, 菅原 理恵, 保坂 祐子
    2002 年22 巻1 号 p. 103-110
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     地域住民の健康向上のために,老人保健法による基本健康診査結果を個別的な保健指導につなげ,より効果的な自己健康管理に役立てることを目的とした健康カードシステムを開発した.表示内容は基本健康診査の受診歴,レーダチャート,時系列グラフ,数値データである.様々なメディアに対応可能で,簡単に住民が家庭で参照できる.データはcsv形式で記録され,自由なデータの追加入力や独自のグラフ作成も可能となった.データとプログラムを同時記録としたことで,自由にシステムのバージョンアップをすることができる.伊勢原市の基本健診事後相談事業において活用されている.2001年6月~10月の事業参加者の当日質問紙(回答率66%)で,「表示画面から自分の健康状態が分かった」と答えた人は97%であり,また,「経年的かつビジュアルなレーダチャートや時系列グラフにより,自分の健康状態が分かった」とした人が有意に多かった.このシステムが自分の健康管理に役立つと答えた人は91%であり,従来のカードシステムとの比較検定でも有意な差が認められ,自己健康管理に有効であると考えられる.

研究速報
  • 泉 仁, 玉本 英夫
    2002 年22 巻1 号 p. 111-114
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     インターネットなどを介した本人認証にはICカードと生体情報を組み合わせた認証が効果的である.そのため,生体情報を用いて本人認証を適確に行う手法は,バイオメトリクス認証技術として,研究実用化が進んでいる.またICカードに電子カルテの内容を記録させ,それを携帯することによって,医療施設間で情報を共有しようとする試みがなされている.本稿では,セキュリティ対策をICカードの耐タンパ性のみに頼ることなく,バイオメトリクスと暗号技術を組み合わせた本人認証方式を提示し,その安全性評価を行う.その結果,ネットワークに依存しない医療情報システムでは,ICカードの耐タンパ性のみに過度に依存することを指摘し,バイオメトリクス技術によるセキュリティ対策の必要性とその問題点を理論的に検証する.

  • 山内 一史, 滝浦 夕子, 浅沼 優子, 宇部方 庸子, 奥寺 忍, 石井 真紀子
    2002 年22 巻1 号 p. 115-118
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     臨床実習において,看護学生が受けた守秘義務に対する指導の内容と,臨床でコンピュータを使用している際,秘密保持に問題が生じる可能性がある場面に遭遇したかについて調査を行った.患者記録を取り扱う際に,守秘義務遂行のため最も多く指導された注意事項は,看護センターから患者記録を持ち出さないということであった.また,患者のプライバシに関する問題を口外する場合は,場所を選ぶことが多く指導された.指導回数は,臨床の看護婦からより,大学教員から得る場合が多かった.一方,学生は,臨床現場でのコンピュータ使用において,記録内容の漏洩が起こり得る3つのカテゴリーのセキュリティ・ホールを報告した.以上の結果より,われわれは学生に対して,コンピュータ化した患者記録システムの中で,如何にしたら守秘義務が遂行できるかをしっかり教育する必要があることが示された.

  • Katsumasa OTA, Asami KOBAYASHI, Michiko YAHIRO, Naoya MAYUMI
    2002 年22 巻1 号 p. 119-126
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     Patients’ rights have become very hot topics in health care. Privacy is one of these rights. Nurses in clinical settings deal with the information on many patients and share it within the nursing team because nursing is practiced as a team. Sometimes, sharing patients’ information may put the privacy of a patient at risk. To explore how the nurses perceive patients’ privacy and how they share that information and to what extent, we conducted a questionnaire survey with 179 hospital nurses. We obtained 141 (79%) valid answers. Major findings are as follows: 1) on information directly related to nursing care, nurses perceived patients’ privacy lower than their own, 2) patients' information that was recorded on the chart tended to be shared by all nurses in the ward, on the other hand, information needed to nursing care tend to be shared within the team concerned with the patients’ care, 3) the main reason for limitation of the range of information sharing was whether or not it was necessary for nursing care.

  • 津久間 秀彦, 名田 信之, 森本 徳明, 天野 秀昭, 田中 武志, 岩田 則和, 野村 祐仁, 片山 文善, 石川 澄
    2002 年22 巻1 号 p. 127-135
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     地域に開かれた病院を目指して,地域医療機関に役立つ支援と,患者に対する直接的な支援を両立させることは,医療情報システムが果たすべき今後の一つの方向性として重要である.

     この観点から,従来の手作業での院外処方せんのFAX送信サービスのあり方を見直し,患者の利便性向上のためのナビゲーションシステムと,保険薬局での調剤の安全性向上のための院外処方情報の自動FAX送信システムを開発した.本論文では,まずシステムの開発目的と機能の概要を説明する.更に2001年10月より広島大学医学部附属病院で開始した運用の実績に基づいて,本システムの有用性を示す.

技術ノート
  • 久納 康嗣
    2002 年22 巻1 号 p. 137-139
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     入院患者の薬は,次の2つのコンピュータープログラムで,自動入力できる.

     第1のプログラムでは,薬を入力すると,自動錠剤分包機が,薬を1日分だけ作るようにする.例えば,今日,薬を入力すれば,このプログラムで,1日分だけ作られる.

     第2のプログラムでは,今日中に明日の薬を入力しないと,自動的に,明日の薬は,今日の薬と同じになるようにする.

     すると,第1のプログラムで,再び,自動錠剤分包機が,明日の薬を1日分だけ作る.

     この2つのプログラムによって,一度,薬を入力すれば,その後はコンピューターに触れなくても,自動的に,毎日,1日分づつ,永久的に,処方され続ける.

     ところで,従来の7日間定期処方では,1度に7日分,処方する.しかし,処方して2日目に,処方した薬では,血圧をコントロールできないとわかっても,面倒なために,次の定期処方日まで,薬を入れ替える事は少ない.1日処方なら,いつでも,変更できる.

     また,7日処方では,同じ薬を続けるだけなのに,7日処方が終わる度に,コンピューターで確認をしないと,処方が切れる.しかし,自動処方では,切れる事がない.

  • 托哈依 加孜那, 小沢 友紀雄, 笠巻 祐二, 柳川 新, 渡辺 一郎, 斎藤 穎, 上松瀬 勝男, 竹沢 善行, 五島 弘樹
    2002 年22 巻1 号 p. 141-146
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     本研究は心電図・血圧を中心とした電話伝送在宅健康管理システムが在宅生活において生活質(QOL)を著しく阻害する発作性心房細動(Paf)患者の精神面に与える影響を検討することを目的とした.難治性Paf患者10名(男/女=9/1,平均年齢59±10.3歳,抗不整脈薬平均使用数5±2.0種)を対象として,平均20±7.1週の評価期間に1313回の心電図と1012回の血圧を記録送信させ,評価終了時に被験者へのアンケート調査を実施した.自分が持つ病気に対して被験者の全員に「不安感」があり,「神経質な」性格を認めた患者が90%におよんだ.「病気が心配で遠出をしなくなった」と回答した患者が80%であり,外出範囲が制限されていたが,本システムの利用により,「安心感があった」と回答した患者が90%であった.本システムが難治性Paf患者に対する精神的不安感を改善させることが明らかになった.

  • 柴田 健雄, 田中 博
    2002 年22 巻1 号 p. 147-153
    発行日: 2002年
    公開日: 2017/08/14
    ジャーナル フリー

     診療支援システムはコンピュータやネットワーク技術の進歩に比例して,高度化および多機能化している.その最も重要な目的としては,より高い患者の満足度を得ることであると考えられる.そのため患者の満足度を科学的に評価することが重要である.心理学分野で用いられる数理統計学モデルがいくつかあり,本研究では患者の満足度を評価するために,階層分析法(AHP)と多次元尺度法(MDS)の応用方法について述べるとともに,その際に生じる問題点とその対処法について検討する.

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