2002 年 22 巻 4 号 p. 355-360
病院における情報システムのデータは,病院の運営上,各種の統計や臨床研究等では重要な働きをしている.しかし日本における病院情報システムでは,日常業務に重点がおかれ,患者の長期間データを収集し分析するという臨床研究上の目的には機能できていない場合が多い.そこで国立成育医療センター病院では,電子カルテシステムの稼働に伴い,診療系データと医事会計系データを統合したデータベースを実現し,「長期診療データベース」というシステムを構築した.このシステムは,長期間にわたり利用者が目的に応じて診療データや医事データを組み合わせて検索・解析できるようになっている.最近,EBMの名のもとに客観的な臨床データの蓄積の重要性が指摘されているが,この実現には今回のような「長期診療データベース」が基礎になると思われる.将来,日本の病院におけるデータベースが標準化されれば,複数病院間のデータ収集も可能となり,その臨床研究における症例収集がより正確さを増し,研究に貢献できると考えられる.