2004 年 24 巻 1 号 p. 45-53
ネットワーク対応したシステムを用いた遠隔医療が行われるようになってきた.特に遠隔手術を実現するシステム環境には現在,ロボットシステム,シミュレーションシステム,診断システムが個別に開発・管理されているためサブシステム間の連携が煩雑なものとなっている.本研究ではこの問題を解決するためにサブシステム間を有機的に相互接続し動作させ,多種多様なシステムを同一のアプリケーション・プログラミング・インターフェイスによって動作させるためのコントローラ・インターフェイスの開発と遠隔操作におけるシステムの運用性の向上を目的としている.
本稿では,手術ロボットのリアルタイム・コントローラに分散オブジェクト技術の一つであるCORBAを導入し,ミドルウェアの構築を行った.構築したシステムを用いた各種条件下における検証実験を行い,遠隔手術実験に適用することにより,遠隔通信における運用上の有効性を評価した.今後,開発したロボットシステムと映像通信システムなどの他のサブシステムを統合し,手術支援のための統合環境の構築が期待される.