2004 年 24 巻 1 号 p. 55-63
平成14年に更新された高知医科大学の新しい医療情報システムでは,オーダリングや実施登録などに伴って院内で発生する様々な種類の情報をシステマティックかつ継続的に収集し,解析に適した形で蓄積する仕組みとして医療工程管理システムが組み込まれ稼働している.また,同時に稼働を開始した新オーダリングシステムでは,プロブレムを指定しないとオーダーが行えない仕組みが組み込まれ,すべての医療行為の目的が明らかに記録されるとともに,医療工程管理システムで,「誰が」,「誰に」,「何を」,「何時」,「何処で」,「何故」,「どう行ったか」(6W1H)というデータ項目(医療工程識別子)を発生時点で同期して収集することが可能になった.この医療工程識別子情報は1レコード毎に一つのファイルに蓄積され,長期間にわたる医療工程の様々な解析に柔軟かつ汎用的に用いることができる.
実際にこの医療工程システムを用いた入院医療工程の評価や,外来医療工程の評価のための解析が開始され,入院医療プロセスの時系列比較や外来診療工程の律速段階発見,外来患者待ち時間の解析などに簡単に応用できることがわかった.