医療情報学
Online ISSN : 2188-8469
Print ISSN : 0289-8055
ISSN-L : 0289-8055
研究速報
PDAを入出力デバイスとする褥瘡診療計画書入力システムの開発と有効性の検討
大星 直樹灘吉 隆也三富 陽子黒田 知宏崎花 尚美立花 隆夫宮地 良樹吉原 博幸
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 24 巻 1 号 p. 99-109

詳細
抄録

 看護師の病棟における日常業務の中で看護記録等の間接看護に割かれる時間が看護業務全体からみて多くの割合を占めていることが指摘されている.また,看護師は患者のケアを行いながらメモをとりナースステーションへ戻り,そのメモや記憶をもとに患者データを紙媒体の用紙に記録することが多い.紙を媒体とする看護記録は患者データの転記ミスを誘発したり,データを電子的に集計,分析しようとすると煩雑なコンピュータへのデータ入力作業を看護師に強いることになる.これらの問題に対処するため,我々は病棟における看護師の記録業務軽減を目指し褥瘡ケアを対象にモバイル端末としてPersonal Digital Assistant (PDA)を入力デバイスとする診療計画書作成システムを開発した.このシステムはユーザの直感的な発生源入力を可能にするインタフェースを備え,院内の無線LAN上で稼働するWebアプリケーションとして実装されている.本システムはベッドサイドでの患者の診療計画情報の直接入力・検索・参照・変更を容易にし,患者データの転記作業の減少,情報の共有化,二次利用を目指している.本稿ではモバイル端末による看護支援システムの設計指針を示し,未だ病院内で運用する情報機器として普及しているとは言い難いPDAは,その操作練習を行うことによって医療従事者の操作能力を向上させることが可能であり,病棟での発生源入力のデバイスとして有効であることを確認したので報告する.

著者関連情報
© 2004 一般社団法人 日本医療情報学会
前の記事 次の記事
feedback
Top