医療情報学
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解説
HIV/AIDS患者情報シェアシステム ―サンフランシスコのReggie System―
大江 洋介
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2004 年 24 巻 2 号 p. 285-289

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抄録
 電子カルテをはじめとする医療のIT化は進んでいるが,情報システムだけでなく社会環境も重要である.とりわけHIV/AIDS患者にとって個人情報の扱いは深刻な問題である.そこで米国サンフランシスコ市のReggie Systemについて紹介する.
 Reggieシステムは,サンフランシスコ市在住のHIV/AIDS患者のためのローカルなシステムである.1995年にプロジェクトが始まった当初は,自分たちの情報をネットワークにのせることに抵抗があった.しかし今はプライバシー保護の法律ができ,社会環境も変わったため,患者の90%がReggie Systemを利用している.
 Reggie Systemが患者自身のためのシステムであるという理由は,患者が自分の情報にパスワードを設定し,自分の医療情報等を知らせたい人にだけそのパスワードを教えるようにできる仕組みにある.たとえ医師であっても,その人のパスワードを知らなければ情報にアクセスできない.この仕組みによりHIV/AIDS患者は自分自身の情報のアクセス・コントロールが可能である.
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© 2004 一般社団法人 日本医療情報学会
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