医療情報学
Online ISSN : 2188-8469
Print ISSN : 0289-8055
ISSN-L : 0289-8055
24 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
解説
  • 大江 洋介
    2004 年24 巻2 号 p. 285-289
    発行日: 2004年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     電子カルテをはじめとする医療のIT化は進んでいるが,情報システムだけでなく社会環境も重要である.とりわけHIV/AIDS患者にとって個人情報の扱いは深刻な問題である.そこで米国サンフランシスコ市のReggie Systemについて紹介する.
     Reggieシステムは,サンフランシスコ市在住のHIV/AIDS患者のためのローカルなシステムである.1995年にプロジェクトが始まった当初は,自分たちの情報をネットワークにのせることに抵抗があった.しかし今はプライバシー保護の法律ができ,社会環境も変わったため,患者の90%がReggie Systemを利用している.
     Reggie Systemが患者自身のためのシステムであるという理由は,患者が自分の情報にパスワードを設定し,自分の医療情報等を知らせたい人にだけそのパスワードを教えるようにできる仕組みにある.たとえ医師であっても,その人のパスワードを知らなければ情報にアクセスできない.この仕組みによりHIV/AIDS患者は自分自身の情報のアクセス・コントロールが可能である.
技術ノート
  • 八幡 勝也, 波田 哲朗, 國武 惠明, 宮野 章, 伊勢田 司, 小池 淳, 東 敏昭
    2004 年24 巻2 号 p. 291-296
    発行日: 2004年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     現在インターネットで画像の標準フォーマットであるJPEGに特許問題が出てきたため,その代わりにJPEG 2000が注目されている.JPEGとJPEG 2000の画像フォーマットの比較を標準画像SMPTEと内視鏡画像で行った.評価はPSNR(peak-signal to noise ratio)で行った.その結果,同じ圧縮率でも全体としてJPEG 2000の方が50%ほど圧縮効率が良く,画質の低下も少なかった.今後の医療における画像フォーマットとして有用であると考えられた.
  • 山本 武志, 伊藤 弘人, 中野 夕香里, 小澤 恵美
    2004 年24 巻2 号 p. 297-304
    発行日: 2004年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     近年わが国では,多くの医療機関で患者満足度調査の取り組みが行われており,調査で得られた情報を有効に活用することが求められている.従来の患者満足度に関する多くの調査・研究は,単施設の患者を対象としている.そこで本研究では,複数の医療機関の外来患者を対象にして,医療機関の規模・機能別の患者満足度と,患者満足度に影響を与える要因について検討した.その結果,医療機関の規模・機能に関わらず,医師の評価,設備・環境の評価,健康回復感が総合満足度に影響を与えており,なかでも,医師の評価が与える影響力は最も大きかった.大学病院については特異な関連要因が認められ,年齢が若い,長期通院をしている,待ち時間が長いほど,総合満足度が低くなるという結果であった.大学病院および大規模病院においては,待ち時間への特段の配慮など,他の規模・機能の医療機関とは異なった対策が講じられることが,外来患者の満足度の向上につながると考えられる.
  • 永井 昌寛, 山本 勝, 横山 淳一, 野口 覚, 田川 元也
    2004 年24 巻2 号 p. 305-314
    発行日: 2004年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     歯科医師会では,生涯を通じた住民の歯の健康づくりを推進していくための「8020運動」を展開している.また,「健康日本21」歯科保健分野では具体的な目標を設定し,その目標達成に向けての試みが行われている.これらを支援していくためのひとつの方法として,情報サービスの提供が考えられる.
     「8020運動」および「健康日本21」歯科保健分野において,住民にきめ細やかな情報サービスを効率的かつ効果的に行っていくためには,IT導入が有効かつ不可欠であると考えられる.そこで,本研究では,「8020運動」および「健康日本21」歯科保健分野を情報面から支援するための8020支援情報システム(プロトタイプ)の開発を行った.本論文では,本システムの目的・方針・構成・内容等を紹介するとともに,評価実験等を行った結果をもとに,システムの開発・運用における課題・問題点を考察する.
資料
  • 佐藤 康仁, 竹内 広宜, 星 佳芳, 浦本 直彦, 佐藤 敏彦, 稲岡 則子, 武田 浩一, 山口 直人
    2004 年24 巻2 号 p. 315-322
    発行日: 2004年
    公開日: 2016/03/15
    ジャーナル フリー
     目的:本研究は,テキストマイニングシステムおよび類似文書検索システムを用いることにより,EBMに基づく診療ガイドライン作成支援を行うことが有効であるか検討することを目的とした.
     方法:検索用文書集合,検索課題および適合文書集合を準備し,テキストマイニングシステムおよび類似文書検索システムによる検索実験を行った.評価は,精度および再現率を用いて行った.
     結果:テキストマイニングシステムにおいては,診療ガイドラインを作成する際の検索課題に対して,再現率を下げずに精度を上げる検索が行えた.類似文書検索システムにおいては,次元削減のあるシステムを用いることで良い検索結果が得られた.
     結論:テキストマイニングシステムおよび類似文書検索システムを使用することにより,精度および再現率の高い検索結果を得ることができた.特に,診療ガイドラインを作成する際の検索課題のように,条件が絞り込まれているものに対して,良好な結果が得られた.
feedback
Top