医療情報学
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原著
医療事故防止における医療スタッフの安全意識に関する研究―インシデントの発生および診療マニュアルの把握との関係分析―
天野 寛酒井 順哉
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2004 年 24 巻 6 号 p. 639-655

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抄録

 医療事故の防止対策には,システムアプローチ(Systems Approach)とパーソンアプローチ(Person Approach)という2つの側面から対応する必要がある(Reason,2000).本研究はパーソンアプローチとして,インシデントレポートと意識調査との関係に着目した.分析は,インシデントの発生件数から医療事故を起こしやすいグループ(H群:ミスが6回以上の群)とそうでないグループ(L群:ミスが0回の群)を抽出し,意識調査の結果について両群間に違いがみられるのかを検討した.その結果,両群と安全意識との関係では,医療事故の報告義務の設問項目群について差がみられ,H群はL群に比べて安全意識に問題があることが確認された.また,両群とパーソナリティーテストとの関係では,エゴグラムのAC,POMSのT-Aについて有意な差がみられ,H群はL群に比べてACが高く,緊張感が高いなどの過剰適応的タイプの者が多い可能性が示唆された.以上の結果について,効果的な安全対策のアプローチを探った.

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© 2004 一般社団法人 日本医療情報学会
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