抄録
IT化が進んできた医療分野の中でも,看護情報システムの開発は遅れがちである.その大きな要因として,看護用語が標準化されていないことが挙げられる.現在,各施設では,その施設独自の看護用語が使用されており,標準看護用語を使用するには,現在使用している看護用語と標準看護用語をマッチングさせるという作業が必要となる.しかし,その作業は,施設側にもベンダ側にも大きな負担である.そこで今回は,既存のデータベースを活かしながら,システム上において,看護師が容易に標準看護用語への変換,検索ができるマッチングツールを構築し,実装試験および評価を実施した.
その結果,マッチングツールを使用した場合に一致した項目は28項目中26項目で,手作業の場合は27項目であった.作業時間は,マッチングツールを使用した場合が1~2分で,手作業の場合が約60分であった.臨床現場で実際に使用するには,問題点の改善と更なる検証が必要である.