抄録
医薬品の使用成績調査での電子的症例データ収集システムの運用において,電子的調査票と紙調査票を併用して実施した場合の各調査票の収集方式による,①医療機関との契約開始日から調査票入手までの期間,②調査票の入手から調査票の再調査依頼までの期間,③調査票の再調査に要した期間,④調査票の入手から調査票の再調査が不要となるまでの期間,⑤医療機関との契約開始日から調査票確定までの全期間,⑥再調査率(再調査実施調査票数/全収集調査票数)および⑦1調査票当たりの平均再調査項目数について比較した.その結果,上記の①~④の各期間はいずれも電子的調査票方式が紙調査票方式より短縮された.また,⑥は,電子的調査票方式の37.8%に対し,紙調査票方式が75.8%,⑦は,全入力項目数92項目のうち電子的調査票方式が1.5項目に対し,紙調査票方式が8.5項目と電子的調査票方式が紙調査票方式に比べ再調査率および再調査項目数ともに低かった.以上の結果から,使用成績調査における電子的症例データ収集システムによる電子的調査票方式の活用によって,紙調査票方式に比べ,収集された症例データの確認に要する期間の短縮が図られ,より効率的に症例データを収集できることが示唆された.