抄録
多くの看護師が腰痛に悩まされている.腰痛の原因が「患者の状況に合わせた看護動作」であることから,看護ケア時の腰部への負荷量を看護量の一つとして視覚化して利用することを考えた.本研究では,ひねり動作による負荷に着目し,「ベッド–車椅子移乗介助」の腰部ひねり角度と表面筋電図を測定し,分析した結果を報告する.被験者は移乗技術を習得した20~30歳代女性7名とした.実験は,ベッドから車椅子移乗技術を異なる3方法で実施し,各方法の一連の動作を目的別に4動作に分け,比較分析した.測定はTRIASシステム(DKH社製)を使用し,得られたデータはMATLABでプログラミング解析を行った.結果,同じ目的である移乗介助でも方法・動作の違いにより,ひねり角度,ひねり角速度,ひねり角加速度による腰部への負荷量の違いを視覚化して,より負担の少ないケア方法を提示することができた.