医療情報学
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原著-研究論文
記載インターフェースの改良による電子カルテの記載の質と診療内容の質の変化
岡垣 篤彦是恒 之宏中島 伸和田 晃楠岡 英雄
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2011 年 31 巻 1 号 p. 37-48

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抄録

 電子カルテ時代のカルテ記載の正しい方法やそのためのユーザインターフェースを探る目的で,当院で記載された時間外外来のカルテを分析し,記載の質,さらに診療の質の評価を試みた.当院ではベンダ製の電子カルテシステムの入出力にファイルメーカープロで作成したインターフェース層を付加することにより,診療科別に必要な記載項目や表示形態を洗い出して入力用画面を高度にカスタマイズした「カード型電子カルテ」を使用している.しかし,初期研修医が初療を担当する時間外外来のカルテでは,稼働当初はカスタマイズを行っておらず「ロールペーパー」方式のカルテを使用し1年後に「カード型電子カルテ」に切り替えた.この前後での研修医のカルテの記載文字数,および重要記載項目への記載状況について調査比較を行った.さらに,指導医により診療内容の適切さについて評価を行った.「カード型電子カルテ」では以前に使用していたロールペーパー式カルテの記載量の約 2 倍となっており,項目ごとの記載率についても有意に高かった.診療内容の評価では「カード型電子カルテ」の方が有意に高評価であった.記載内容の品質管理という点では底上げ効果があったと思われ,さらに「カード型電子カルテ」を使用することが診療内容の質の改善につながっていると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本医療情報学会
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