抄録
 病院情報システム上のデータ(HISデータ)の可用性確保は,診療期間の事業継続正確保の要諦である.本研究では,HISデータを「究極の個人情報」を含まない複数の断片に分割する秘密分散法を適用することで,冗長性を有した分散リモートバックアップを実現することを提案した.本研究では,シミュレーション評価や商用サービスを用いた基礎実験を通じて,提案手法の実現性の評価を行った.評価の結果,性能向上のためのデータ圧縮手法の検討やディスク入出力の最適化などは必要であるものの,現在の商用サービスを組み合わせることで,提案手法を用いた分散リモートバックアップが十分実現可能であることが明らかになった.