2014 年 34 巻 5 号 p. 221-232
心臓血管に関する医療において,心臓の三次元的な構造を理解することは心疾患患者の治療において極めて重要である.しかしながら,特にいくつかの心疾患においては,実際の心臓の構造は複雑であり,適切にそれを把握するのはしばしば困難である.そこで,われわれは心臓の構造を効果的に理解するための新しいマルチタッチインタラクション技術を開発し,さらに,教育・説明用途を想定したプロトタイプシステムの実装を行った.本システムでは心臓の三次元モデルは弾性体オブジェクトとしてシミュレートされている.ユーザはタブレット型コンピュータを用いて,心臓モデルの一部分をマルチタッチインタラクションによって引っ張って変形させるなどの操作を行い,心臓の内外の構造を観察することができる.医師を対象に本システムの初期評価を行い,実用化に向けての意見や要望をまとめた.