医療情報学
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34 巻, 5 号
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原著-研究論文
  • 篠原 恵美子
    2014 年 34 巻 5 号 p. 211-220
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     自然言語表現を統制用語集にマッピングすること(正規化)は,診療録等の利活用に必須の技術である.本稿では正規化技術の確立に向け,身体部位表現の内部構造モデルを提案する.提案モデルは言語学分野で蓄積されてきた知見に基づいた語形成過程を表すものであり,要素語,要素語の分類体系,要素語の合成規則,辞書から構成される.このモデルによって,これまで扱うことが難しかった「胸椎+腰椎=胸腰椎」のような縮退を表現することができ,また表層文字列のみならず要素語間の関係も表現されるため修飾語の付加による意味変化に対して頑健な処理の実現が可能である.評価のため提案モデルに基づいた内部構造解析プログラムを作成し解剖学用語80語を対象に適用したところ,73語に対して正しい内部構造が得られ,本モデルの表現力およびこれに則った解析の実現可能性が示唆された.
原著-技術論文
  • 小山 裕己, 五十嵐 健夫, 井尻 敬, 稲田 慎, 黒嵜 健一, 白石 公, 中沢 一雄
    2014 年 34 巻 5 号 p. 221-232
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     心臓血管に関する医療において,心臓の三次元的な構造を理解することは心疾患患者の治療において極めて重要である.しかしながら,特にいくつかの心疾患においては,実際の心臓の構造は複雑であり,適切にそれを把握するのはしばしば困難である.そこで,われわれは心臓の構造を効果的に理解するための新しいマルチタッチインタラクション技術を開発し,さらに,教育・説明用途を想定したプロトタイプシステムの実装を行った.本システムでは心臓の三次元モデルは弾性体オブジェクトとしてシミュレートされている.ユーザはタブレット型コンピュータを用いて,心臓モデルの一部分をマルチタッチインタラクションによって引っ張って変形させるなどの操作を行い,心臓の内外の構造を観察することができる.医師を対象に本システムの初期評価を行い,実用化に向けての意見や要望をまとめた.
資料
  • 鈴木 亮二, 酒巻 哲夫
    2014 年 34 巻 5 号 p. 233-242
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     高齢者や移動に不便を強いられる患者は,複数科受診や検査の移動距離が長いと負担が増すと考えられる.本研究は群馬大学医学部附属病院の外来受診患者における同日複数科受診患者の状況を把握して,複数科受診と検査に要する移動距離を比較し,フロアレイアウトについての考察を行うことを目的とした.2009年11月1日から2012年9月30日までの外来診療データを用いて,2診療科の受診患者数の多い20組を解析対象とした.2診療科間と検査室間の移動距離は活動量計を用いて算出した.内科と皮膚科,内科と外科の受診件数が多く15~64歳が半数を占めた.また,放射線科と泌尿器科,内科と泌尿器科は65歳以上の男性が多かった.整形外科と皮膚科の移動距離が最も長く,65歳以上が半数を占め,移動に不便のある患者が多いと推察された.複数科受診の組合せと件数は,病院の診療科の特徴によって異なると考えられた.
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