2017 年 37 巻 2 号 p. 81-86
近年,自治体病院には効率的な運営による経営健全化が求められている.自治体病院は,地域医療を担う社会基盤として,民間病院では提供困難な医療の提供を行う必要があるが,それ故に経営状態が悪化してしまう病院も少なくない.病院の効率的な経営支援のためには,効率性に影響する項目を検討する必要があるが,そのような研究は筆者の調査ではあまり見られない.そこで,本研究では地域における自治体病院の経営効率性の現状把握と,経営効率性に影響を及ぼし得る項目を明らかにすることを目的とし,包絡分析法(Data Envelopment Analysis:DEA)を用いた効率値の算出および影響要因の検討を行った.対象地域は北海道の三次医療圏とし,対象施設は道内の自治体病院86病院とした.DEAによる効率値の算出には3入力2出力型領域制限法を用い,入力変数には「職員給与費」,「材料費」,「経費」,出力変数には「入院収益」,「外来収益」を用いた.三次医療圏ごとの効率値の比較を行ったところ,道央地域と道北地域および道央地域と十勝地域に有意差が見られた.また,地域における自治体病院比率・患者流入割合との関連を分析し,有意な関連が見られた.展望として,医療資源など効率値に影響を与えうる変数を考慮し,詳細な検討を行う必要があると考える.