われわれは2015年より携帯情報端末を用いた電子カルテへの臨床写真登録システムを導入した.携帯情報端末で撮影された写真は無線LAN経由で転送され,電子カルテに診療記録として登録される.稼働1年間で電子カルテに写真が登録された経過記録は,3,408件であり,外科系診療科で写真登録率が高い傾向にあることが判明した.
導入したシステムは,リアルタイム性を有し,操作の簡便性,ウイルス感染の可能性が少ないという特徴を有するが,従来のデジカメを用いた写真登録システムも本システム導入前後で利用状況に変化はみられず,医療現場では利用シーンに応じて撮影デバイスを柔軟に使い分けているという現状を把握した.また,携帯情報端末は,その可搬性の高さより,真正性を担保するという観点から,電子カルテ端末以上に利用者認証性を高める必要があると推察された.