医療情報学
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学会企画シンポジウム
医療AIに向けた医療画像データベース基盤構築の新しい動向
大江 和彦木村 通男田中 聖人佐々木 毅待鳥 詔洋合田 憲人
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2018 年 38 巻 1 号 p. 47-57

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抄録

 深層学習により画像識別や画像認識の飛躍的な性能向上がもたらされた.周知のように医療では,とりわけ診断において画像データの重要性が高く,多くの医療分野の画像診断で深層学習を活用して診断支援,病変領域の識別,所見分類などが試みられている.こうした研究では教師あり機械学習が用いられており,その教師データすなわち学習データセットとして,正しい診断名や所見名が正解ラベルとして画像に付与された医療画像データが大量に必要である.

 このような動きが加速するなかで,平成28年度には日本医療研究開発機構(AMED)の臨床研究等ICT基盤構築研究事業において人工知能等利用活用基盤構築関連の研究課題として「ICT技術や人工知能(AI)等による利活用を見据えた,診療画像等データベース基盤構築に関する研究」が公募された.この公募事業では,順不同で(1)日本消化器内視鏡学会「全国消化器内視鏡診療データベースと内視鏡画像融合による新たな統合型データベース構築に関する研究」,(2)日本病理学会「AI等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(WSI)の収集基盤整備と病理支援システム開発」,(3)九州大学(日本医学放射線学会)「画像診断ナショナルデータベース実現のための開発研究」の3件が採択された.また,国立情報学研究所が分担協力して,この3事業の画像データベースストレージとネットワークの共通インフラを構築することになっている.

 この事業は,AI時代の医療データベースのあり方にも大きなインパクトを与えると思われる.そこで,この事業に参加する3団体と国立情報学研究所から演者を推薦していただき,学会企画として本セッションを開催することにした.3つの各事業と国立情報学研究所から各事業の概要や情報基盤の紹介をしていただく.

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© 2018 一般社団法人 日本医療情報学会
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