病院内に蓄積された診療データを利用することで,患者状態の急変や治療による副作用の発生といった診療イベントの予測を行う診療意思決定支援(Clinical Decision Support;CDS)を実現することが期待されている.本研究では,小児循環器領域において診療イベントを予測する機械学習モデルおよび予測結果を根拠と共に提供する診療意思決定支援システムを構築し,その臨床的有用性を評価した.機械学習モデルには,バイタルサインなどの時系列データからウィンドウ処理および統計量算出によって抽出した65種類の特徴量を用いた.先天性心疾患で入院した475人の患者のデータを用いて,モデルの構築および評価を行った結果,予測精度はAUC=0.88であった.さらに,予測モデルを組み込んだ診療意思決定支援システムを開発し,院内の電子カルテおよびPACSに接続して診療イベントの予測の前向き評価および予測結果の表示を行った.前向き評価での予測精度はAUC=0.76であった.3名の小児循環器科医による評価の結果,診療判断の前倒しや時間短縮などの臨床的有用性が示された.