医療情報学
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特集 厚生労働科学研究成果報告書 第5回
人工知能を活用した行動・心理症状の予防と早期発見,適切な対応方法を提案する認知症対応支援システムの開発と導入プログラムに関する研究
小川 朝生平井 啓谷向 仁高橋 晶中西 三春井上 真一郎上村 恵一深堀 浩樹榎戸 正則竹下 修由
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2023 年 42 巻 4 号 p. 150-151

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抄録

1. 研究目的

 本研究の目的は,全国の認知症ケアチーム・緩和ケアチームによる認知症高齢者への評価・対応を学習モデルとした人工知能を開発し,有効性の検証された教育プログラムと安全な運用プログラムとあわせて検証・実装することにより,病院を中心とする看護・介護の現場での認知機能の低下やせん妄の予防・早期発見,行動心理症状への適切な対応方法を確立する点にある.

 認知症高齢者の多くは,身体的問題を持ちつつ過ごしている.そのため,認知機能の低下や行動心理症状の評価・対応を行う上で,身体疾患やせん妄,痛み等の身体的苦痛,薬剤を含めた評価が必要である.しかし,包括的な評価と判断は臨床経験に基づく個別判断が中心で,手法が確立していない現状がある.後期高齢者の増加を迎え,認知症高齢者の行動的な変化と共に,身体的な治療や身体症状の変化をとらえ,精神症状や薬物とあわせて評価判断する専門的知識と臨床経験の普及が緊急の課題である.

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© 2023 一般社団法人 日本医療情報学会
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