2024 年 44 巻 2 号 p. 77-86
目的:日本における個人の生涯型電子カルテ(パーソナル・ヘルス・レコード;PHR)の実装・普及に資することを目指し,先行事例として台湾におけるPHR導入の背景,現状および将来計画を明らかにする.
方法:台湾政府機関ウェブサイトの公開資料を利用した.
結果:台湾では2003年から電子カルテの導入・共有が試行されてきたが,電子カルテの導入に対して,コストやプライバシーの懸念などの障壁が大きく,全国の医療機関間での電子カルテの共有は困難であった.そこで,台湾政府は一連の政策で電子医療記録導入インセンティブを強化し,多くの障壁を解決した.また,台湾政府は2014年,国民がより自分の健康状況を把握できるようにするため,台湾の公的なPHRであるMy Health Bankシステムを開始した.
結論:台湾で急速に医療情報がデジタル化された背景には,政府による国策としてのバランスの取れたインセンティブ制度の推進によるところが大きいと考えられる.