超高温変成岩中の微小流体包有物のレーザーラマン分光分析を行った.その結果,純粋なCO2と考えられていた包有物に最大5 mol. %のCH4と2 mol. %のN2が含まれることが明らかになった.また,ナピア岩体のサフィリン+石英鉱物組み合わせのような1050 oC以上の超高温変成条件を示す石英中の初生CO2包有物も,最大2 mol. %のH2Oを含む.これは超高温変成作用時におけるH2Oの存在を示唆する.マドゥライ岩体のCO2包有物は方解石,ドロマイト,マグネサイトなどの炭酸塩鉱物を伴うことが多い.これら固相包有物は場合によっては流体包有物よりもサイズが大きく(最大200μm),流体と同時にトラップされた炭酸塩メルトの可能性がある.また,リンポポ帯の泥質片麻岩中の包有物にはCO2, H2O, CH4のほかに,エタンが含まれる.通常の高温変成条件ではエタンは不安定であるが,H2Oのフュガシティーが極めて低い条件では,CH4とCO2の分解によってエタンが形成可能である.