主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
バリスカン造山帯のボヘミア山地モルダニューブ帯で展開している、超高温変成作用と超高圧変成作用をつなぐ地質情報調査の現状を報告する。: Iブランスキーレス岩体Rohy産の優黒質グラニュライト中の、均質で高いCa量を持つザクロ石のコアと、ザクロ石中の高いヒスイ輝石成分(コアで30モル%)と15モル%程度のチェルマック成分を含む単斜輝石から、18-22kbar, 950-1050℃の最高変成条件が得られた。この圧力は従来の推定値より2-6kbar高いが、超高圧変成条件には至らない。 II:ブランスキーレス岩体Plesovice産のカンラン岩のザクロ石が安定な時期の平衡条件は900-950℃, 30-33kbarと推定できた。この変成温度はRohy産グラニュライトと類似するが、圧力で約10kbの差があり、その定置過程の解明が今後の課題である。 III: Nove Dvoryザクロ石カンラン岩体の藍晶石エクロジャイトの最高変成条件として1050-1150℃, 45-49kbarの値が得られた。この値は母岩のカンラン岩の推定値と調和的である。この岩体は1000℃以上の変成条件を蒙ったにもかかわらず、エクロジャイト中のザクロ石は多様な組成累帯構造を示す。その一部は圧力増加の傾向を示し、この岩体は沈み込みを経験した可能性が示唆される。