主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
「超高温変成作用」の定義は地殻深度における900℃を超える高温の変成作用(Harley, 1998)ということになっているが、温度圧力経路の違いによって等圧冷却および等温減圧に大別され、またその産状は1000℃を超える超高温地域が百キロメートルの広域に及ぶものから、変成帯の最高温部がかろうじて900℃に達するもの、あるいは火成岩体の周囲に発達する超高温“接触”変成帯など、様々な異なるテクトニクスによる変成作用/変成岩がある。南極ナピア岩体は太古代末期∼原生代初期の変成岩体で、超高温“広域”変成岩体としての特徴を最もよく備え、また最も広い分布を示す地質体である。本講演では超高温広域変成岩体としての地質学的・岩石学的な証拠および特徴を紹介するとともに、超高温変成作用の「熱の問題」と熱源以上に本質的な問題をはらむ「水の問題」について考察する。