主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
南部フォッサマグナに位置する佐野川地域には、佐野川に沿った幅2km、長さ20kmの南北の範囲内に、十島、柿本、また十島∼上佐野に、小岩体が分かれて分布する。佐野川岩体は主にはんれい岩∼閃緑岩からなる。十島∼上佐野の小岩体では、はんれい岩体は安山岩、玄武岩の岩脈によって貫入されている。本研究において、はんれい岩相は佐野川上流の安山岩・玄武岩岩脈中にゼノリス状に分布している。従来、佐野川の主岩相ははんれい岩∼閃緑岩とされてきたが、それらは安山岩-玄武岩岩脈中のゼノリスであり、岩体は微閃緑岩・花崗閃緑はん岩・閃緑ひん岩が主である。ハンレイ岩と微閃緑岩をKr-Ar年代測定法により分析した結果、はんれい岩:4.3±0.5Ma、微閃緑岩:18.0±4.4であった。また岩体に伴う玄武岩岩脈中のクロム透輝石について、測定した結果Crはそれほど多くなく、佐野川のクロム透輝石はいずれもCrの含有量では0.1∼0.4であった。